2015年09月13日

題詠まとめ081〜100

題詠100首のラストラン、20首。
ゆっくりと詠う予定ではありましたが、6月以降ふつりと「つくれない病」が生じ、不穏な空気にもなりました。合間にネットプリントの企画に参加したりなど細々と詠うことを諦めず、ようやくの完走を見ることになりました。さて、少しは人間も歌も成長したや否や。
086は敬愛するオンライン小説家麻生新奈さんの作品タイトル「烏珠闇降下紅花巫女」をお借りしたもの。
091はネットニュースで見かけたニシキヘビ災難のニュースについて。094は中島みゆきの「エレーン」から。
100は願われる流れ星の身になって^^。
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081:付 
取り取りの付箋を貼って読み終える本に極楽鳥が現る
082:佳 
人に土ふたつで「佳い」と読み人のあゆみ始めは星に吸はれる
083:憎 
愛ってば憎々しいの含んだり、跨ってたり、したり、するよね
084:錦 
けんけんぱ、越えてゆくのは手立てでしょう錦帯橋の丸い背に乗り
085:化石 
自意識は化石のように頑なで寂しい人とブランコを漕ぐ 
086:珠 
「烏珠闇降下紅花巫女」てふ読みものの美しき
(「ヌバタマノヤミヲオリユクベニノハナミコ」てふよみもののうつくしき)  
087:当 
私から剥ぎ取るものに当然のごとく私が含まれること
088:炭 
燃えさしの炭で描けばどの山も太郎眠らす冬の尾根なり
089:マーク 
あざやかな若葉マークがこちら向きこと問う本のかたちしている
090:山 
合はせ着てまた分かれ行く袖だにも背縫ひの山の知らずとも越ゆ
091:略 
「ニシキヘビ、ヤマアラシを飲み込んで死ぬ」略せられしかヤマアラシの死
092:徴 
きっと死ぬ徴をひとつ得て昼の診察室を晴れ晴れと出づ
093:わざわざ 
歌うのだざわざわざわと七月の瑞穂の海が 耳たぶ光れ
094:腹 
吸って吐くただそれすらも苦しげに蛇腹楽器は「エレーン」うたう
095:申 
万有に働くと云う引力は申し分なく恋を裏切る
096:賢 
臆病を取り柄と決めて五年(いつとせ)を賢く生きるはずの迂愚なり
097:騙 
騙された怒りもて剥く烏賊二杯シンクに落ちる余熱の蒼く
098:独 
まだ知らぬ独りになれる場所があり知らぬ誰かが訪ねてたりする
099:聴 
さようなら聴こえる人に手を振れば遠くのきみに届くおはよう
100:願 
「いつまでも願いかないませんよう」と流れる星は願うのでした
ラベル:短歌
posted by きむろみ at 23:55| 題詠まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月10日

題詠まとめ061〜080

061から080までのまとめ。詠む都度、080まで記事に足していきます。

062で下書きを公開・トラックバックする大失敗をやらかしました。慌てて次記事で釈明しましたが時遅し。自由律さ(笑)とやり過ごすしかない体たらくです。
065、世に標語はさまざまありますが、短歌やっているとやっていない人よりは言葉のリズムはあるようで。企業のなかで表彰されたり、と煩わしいことがあります。一番煩わしいのは三十一文字の言葉が何がしかのスローガンになること。キャッチコピーと言えば軽く聞こえますが、歌はともすれば社会に取り込まれ、危うい時代には悪く利用されないかと、ふと不安になったり。
069は緑青の碧(あお)。
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061:宗
八百万神すむ家に嫁ぎ来て死なば神なる祭祀宗教
062:万年
万年の雪に染まりし鳥なれば空のあをさもひきてゆかしむ
063:丁
心根の底打つ夜半にそとくゆる きみ振り返れ沈丁の花
064:裕
「ほんたうのなまゑは裕子、やさしゐこ」つかの間父の正気もどれば
065:スロー
来る年も三十一文字のスローガンに溢れ、歌は恐ろしきもの
066:缶
空き缶に蝶を閉じ込め埋めたのち土に喰はれるまでの秘め事
067:府
めざすもの何ひとつなく蚊柱の冥府に入れる よよ泣くは誰れ
068:煌
世に謳うコピー通りの煌めきを持たない糸できみと繋がる
069:銅
やがて生む銅の碧さも握りしめ貴方に貢ぐことに決めてる
070:本
恋に恋する日を待って本棚の氷室冴子は微笑んでいる
071:粉
蘇る大地を模してあらかじめ粉末スープが仮死する嚢
072:諸
諸々の事情が積もる明日には募る心も忘れてしまう
073:会場
どん底の気分で開く会場の扉が重くもしや底なし
074:唾
革ジャンのひだり唾液に染められて父匂うとは知っていたのに
075:短
潔い花火のように短くも貴方を照らす私であろう
076:舎
一生が勉強と云う学び舎を今日は行き過ぎ野に咲くあざみ
077:等
きっとまぶたの裏にいて滲んでは乾いてるんだ僕等の愛は
078:ソース
怒りには拳のほかに味がありソースいるかね酒いらんかね
079:筆
電脳の恋なればこそ筆跡の代わりに愛でるフォントメイリオ
080:標
道標。「太く真直ぐがいいね」と両腕を見る吾も看護師も
posted by きむろみ at 16:17| 題詠まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月15日

題詠まとめ041〜060

041から060までのまとめ。詠む都度、060まで記事に足していきます。
この春を一段と慌しく迎えて詠むペースも一段とスロウに。肩の力も抜こうと短歌を詠むのは暇なときと決めました。コツコツ、ペースを崩さずとはうまくいかないものです。
身近な心情を詠うようになったのはこれまでの40首を経ての成果……かな?(笑)

043、慣れない旧かなで、つとに友人や私の眉をひそめさせる魑魅(すだま)のことを。
044は他の題詠ランナーさまの歌が"らくだに乗った経験"がなさそうだったので、体験談。
046は3.11の記憶、047は住んでいた街の記憶。
050は2007年「とひ答ヘ」という記事にコメントした短歌詠い始めの頃のもの。題詠半ばを迎え、初心に戻る記念として。
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041:扇
まろやかな酢であるらしく扇ぐ手の二つゆっくり花ちらし寿司
042:特
特別な人を愛したわけでなく笑うと笑う縁を愛した
043:旧
手馴らしの余裕と言はばかもしらず旧きすだまをもて扱ひけむ
044:らくだ
まえうしろ前へ後ろへ吾は揺れらくだの背平ざらざらと触る
045:売
恋人を忘れられない胸穿ち染めた靴です、安く売ります
046:貨
ゆっくりと海へ引いてく貨物船ここから陸よまた満ちてゆけ
047:四国
別府から四国い見ゆる振り向けばきっと泣くけん海だけ見ちょる
048:負
ぬかるみに挑んで開く我が足の実のところは負け続けてる
049:尼
尼崎「が」の字どちらに入れるかと悩むケーキを切り分けながら
050:答
とい答え いとよりかけし白露のたまをも落とす その脆き縁
051:緯
太陽と名つく果実に刃を入れる北緯あたりは深く静かに
052:サイト
メモリアルサイトといえばぎこちなくあなたをよんでただ泣いてきた
053:腐
凍み豆腐、夢見るまえの手放しで泣いてたきみをボクは知ってる
054:踵
深深と踵踝あたりまで日日わたくしの煮こごり溜まる
055:夫
夫とは二人と書いてつまと呼ぶ おんな大の字、おとこ太の字
056:リボン
柘榴割れ零れるような微笑みにリボンをかけた女(ひと)でありたい
057:析
分析をすればするほどすればするほどしなくても分かりあえない
058:士
先端の反対側はこけし状、木製。武士の食べもの代わり。
059:税
税込みの弔いひとつ賄えり持たざるものの燃やす哀しみ
060:孔雀
されば問う「あなたが王か」虹ふるいミャオウと重ね宣ぶ孔雀よ
ラベル:短歌
posted by きむろみ at 23:45| 題詠まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月08日

題詠まとめ021〜040

021から040までのまとめになります。
他の方の詠み方も学びたくて、このステップでは他の方の作品を読み歩きしています。
そうこうしている内に、022砕 で自分の名前を入れずにトラックバックしてしまうというミスをやらかしてしまいました。
これから先、同じことをやらないようにせねば……orz
当該記事は更新時に040まで出来あがっていません。その都度少しずつ増えていきます。
ちょっとずつ進歩していきたいな。

021の鬼は本来異体字の「」※一字目、ツノ部分の無い字形 で表しますが、題詠に当たっては常用漢字までを使うことにしました。
025は震災4年目としてひとつ詠いました。お題をみた瞬間これ以外思い浮かばなかった。。。
034、"百合さん"は仮名。数年前、交通事故の救出現場に立ち会い救助者を目の前で看取った。その際の女性のしぐさが今でも忘れられない。
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021:小
その声も聞かず私を追い越して角に待つ鬼、小さき吾子よ
022:砕
高貴な食べ物のように摘まんでも蒼く砕けたじいちゃんの骨
023:柱
赤く塗り帆柱のごと二本立つ。くぐれば犬か狐に出会う。
024:真
真実はいつも一つと言う人も恋は一度じゃ終わらないこと
025:さらさら
さらさらと粉、雪、さとう、塩釜市、生きてくときのこわれゆくもの
026:湿
暗湿なところに住まい腹面の伸縮で這う雌雄同体
027:ダウン
余所事や壊れものごと包み往くホンダウンソウ・カブシキガイシャ
028:改
改造を終えた心でもう一度お花見に行く 寝ない子でいる
029:尺
地図を往く尺取り虫の指たちももうすぐ羽ばたくのだね、月曜
030:物
縦書きに流れる涙 この国の物は変われど変わりえぬ事
031:認
認めても認めなくても減る口をもたない父は要介護1
032:昏
こんこんと鳴くのはきつね昏々と眠るまで聴く家鳴り渡る夜
033:逸
ただ椅子に腰掛けている人波を逸れて目だけで駅員になる
034:前
百合さんが今際の際の手を前に伸べる こちらが明日なのだね
035:液
液状のいのちに肉をつけていく膨らむまでの刹那を愛す
036:バス
「トイレではなくバスである」厳かに探す薬局洗剤の棚
037:療
やわやわと歩かぬ吾子を抱えこし療育手帳の青を踏みつく
038:読
ぎくしゃくと木目の匂いさせながら声あげて読む人まで春だ
039:せっかく
せっかくの折り目をそっと撫でながら伸ばせば人も変わるだろうか
040:清
耳削いだ古書深海の紙魚になり ことばむさぼる児島清文
ラベル:短歌
posted by きむろみ at 23:13| 題詠まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月27日

題詠まとめ001〜020

タイトル通り、001から020までの題詠まとめ。
ワンパターンが生じそうな気がしてきたので今さらながら自分の確認用として。010過ぎからワンパターン化してた、よかった気づけた!

しかし「してやったよ!」という歌がつくれませんなぁ。
アクロバティック過ぎるのは嫌ですが、小さく収まるのは、それはもう短歌ではなく短文じゃないかとも逡巡するわけです。修行修行。
個人的に002、005が好き。娘は010を勧めてくれました(笑)
013は震災の折詠んだ自分の歌への返歌になっています。
夜の明けぬ朝よ日日新聞のバイク定める海の境い目
018は3/5インスタントラーメンの発明者安藤百福(あんどうももふく)氏の誕生日に寄せて。

――さて、くよくよせず丁寧に時々ゆるく!
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001:呼
呼ぶ声と手のなるほうへ入相き などか無からむ人恋うこころ
002:急
急須から注がれてくるかなしみは受け止めきれぬほどの熱さで
003:要
それぞれに帰れる場所を持ちながら明日は要らぬと抱き合う小部屋
004:栄
「もう誰も愛さない」とかよく言うよ 懐かしく観る吉田栄作
005:中心
中心に火が通るまでよく熱し飛び立つときは不死鳥と呼ぶ
006:婦
カーテンの襞むらさきの一々を覚えさせらる婦人科の椅子
007:度
度を過ごす声を発せし男子(をのこご)の口元咲ふ大地讃頌
008:ジャム
やれるだけやってみますと言いかけて震えた指が落とす緋のジャム
009:異
それぞれを異物とみなす僕らにも1たす1が2になる予感
010:玉
かごめかごめかごのなかの白玉を数えるゆびが天に羽ばたく
011:怪
怪しさを引き剥がしたら滲むのは孤独であろう人とバス待つ
012:おろか
おろかさはピアノの蓋を開けたがり柩であると打たれて気づく
013:刊
クラッチの音ひとつまで朝刊と思い抱きてともに帰れる
014:込
つぶやくと引っ掻いてくる人込みの中に紛れたいい人ごっこ
015:衛
防衛のための拳は握られて生きづらいだけペプシ飲み干す
016:荒
今ひとり消せば荒野のアドレスに消しゴムのカスなくて寂しい
017:画面
画面には雪 見てますか、隠せない隠しごとたち集まりなさい
018:救
空腹な子を救うべく歩みゆく百円よりもチキンラーメン
019:靴
イタリアの靴イタリアのかたちして履けば異国のたましいの吾
020:亜
亜美ちゃんと言われる水の戦士居てこの国のどこか平和ぼける
ラベル:短歌
posted by きむろみ at 12:45| 題詠まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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